在宅ワークの適正な実施のために

東京文字クラブでは、在宅ワークを適正に実施するために厚生労働省の「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」に沿って業務を行っています。

在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン

はじめに
 情報通信の高度化や、パソコンなど情報通信機器の普及に伴い、これらを活用して個人が在宅形態で自営的に働く在宅ワークが増加しています。
それぞれの事情に合わせて柔軟に働くことができる在宅ワークは、仕事と生活を調和させることができる働き方として、その普及に対する社会的な関心や期待も大きいものとなっています。
 一方で、口頭による契約のため報酬額や納期など基本的な内容が不明確であったり、契約が一方的に打ち切られたりするなど、契約をめぐるトラブルの発生も少なくない状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、厚生労働省では平成12 年から、在宅ワークの仕事を注文する者が在宅ワーカーと契約を締結する際に守るべき最低限のルールとして、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知を図ってきました。
 その後、情報通信技術のさらなる発展・普及により、他の者が代わって行うことが容易な業務については、付加価値が低減し、市場ニーズが縮小傾向になるとともに、個人情報保護の要請が高まるなど、在宅ワークを取り巻く環境は大きく変わってきています。
 このような実態を踏まえ、平成22 年3月に、適用対象の拡大、発注者が文書明示すべき契約条件の追加など、ガイドラインの改正を行いました。
 今後、在宅ワーカーに仕事を発注する方は、在宅ワーカーと契約を結ぶ際には、このガイドラインの内容を守るとともに、契約の内容を在宅ワーカー
とよく協議した上で決めることが望まれます。
 また、在宅ワーカーのみなさんも、仕事を請ける前に、このガイドラインの内容をよく知っておくことが望まれます。

第1 趣旨
 このガイドラインは、在宅ワークの契約に係る紛争を未然に防止し、かつ、在宅ワークを良好な就業形態とするために、在宅ワークの契約条件の文書明示や契約条件の適正化などについて必要な事項を示すものである。在宅ワークの仕事を注文する者は、契約を締結する際には、在宅ワーカーと協議した上で契約の内容を決定するとともに、第3に示す内容を守っていくことが求められる。
第2 定義
 このガイドラインにおける以下の用語の意味は、それぞれに定めるところによる。
(1) 在宅ワーク
 情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等(例えば、テープ起こし、データ入力、ホームページの作成、設計・製図等)を行う在宅形態での就労をいう(法人形態により行っている場合や他人を使用している場合などを除く。)。
(2) 在宅ワーカー
 在宅ワークを行う者をいう。
(3) 注文者
 在宅ワークの仕事を在宅ワーカーに注文する者をいう。
第3 注文者が守っていくべき事項
(1) 契約条件の文書明示及びその保存
イ 契約条件の文書明示
注文者は、在宅ワーカーと在宅ワークの契約を締結するときには、在宅ワーカーと協議の上、在宅ワーカーに対して、次の@からIの事項を明らかにした文書を交付すること。
ただし、契約期間が一定期間継続し、受発注が繰り返されるような場合、各回の受発注に共通する事項を包括的な契約とし、納期等各回の個別の事項をその都度の契約内容として、それぞれ明示することも可能であること。
@注文者の氏名、所在地、連絡先
A注文年月日
B注文した仕事の内容
C 報酬額、報酬の支払期日、支払方法
D 注文した仕事にかかる諸経費の取扱い
ハ 電子メールによる明示
上記イの@からIの事項は、文書の交付に代えて電子メールにより明示してもよい。ただし、その場合でも、在宅ワーカーから文書の交付を求められたときは、速やかに文書をその在宅ワーカーに交付すること。
(2) 契約条件の適正化
イ 報酬の支払
@報酬の支払期日
  報酬の支払期日については、注文者が在宅ワーカーから成果物を受け取った日から起算して30 日以内とし、長くても60 日以内とすること。
A報酬の額
  報酬の額については、同一又は類似の業務に従事する在宅ワーカーの報酬、注文した仕事の難易度、納期の長短、在宅ワーカーの能力等を考慮することにより、在宅ワーカーの適正な利益の確保が可能となるように決定すること。
  なお、報酬の額については、最低賃金を参考にすることも考えられる。
ロ 納期
納期については、在宅ワーカーの作業時間が長時間に及ばないように設定すること。その際には、通常の労働者の1日の労働時間(8 時間)を目安とすること。
ハ 継続的な注文の打切りの場合における
 事前予告
同じ在宅ワーカーに、例えば6月を超えて毎月1回以上在宅ワークの仕事を注文しているなど継続的な取引関係にある
ハ 健康確保措置
VDT作業(注)の適正な実施方法、腰痛防止策などの健康を確保するための手法について、注文者が在宅ワーカーに情報提供することが望ましいこと。
ニ 能力開発に関する支援
注文者は、在宅ワーカーが能力の開発及び向上を図ることができるように、業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の内容及び程度その他の事項に関する情報の提供等、在宅ワーカーの能力開発を支援することが望ましいこと。
ホ 担当者の明確化
注文者は、あらかじめ、在宅ワーカーから問い合わせや苦情等があった場合にそれを受け付ける担当者を明らかにすることが望ましいこと。
ヘ 苦情の自主的解決
注文者は、在宅ワーカーから苦情の申出を受けたときは、在宅ワーカーと十分協議する等、自主的な解決を図るように努めること。
(注) VDT作業とは、ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT 機器を使用してデータの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業をいう(平成14年4月厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(21 〜27ページ参照)。

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